目次
概要
KU-20GCCPE20、KB-USB-RLC305、そしてサンワサプライ 500-USB096-7。どれもサンワサプライ製のUSBケーブルですが、実際に触ってみると「同じUSBケーブル」と一括りにはできない違いがはっきり見えてきます。特に今回は、両端がUSB Type-Cの500-USB096-7とKU-20GCCPE20に対して、片側がUSB Aで片側がL型USB Type-CというKB-USB-RLC305という構成の違いもあり、机上配線・VRヘッドセット・モバイル用途など、使い道によって評価がかなり変わる組み合わせでした。
机上で頻繁に抜き差しする人、ノートPCと外付けSSDを持ち歩いて使う人、VRヘッドセットをつないで長時間プレイする人では、求める条件が微妙に変わります。外皮のしなやかさは絡まりの少なさに直結し、コネクタの造りの精度は差し込みの安定感や抜けにくさを左右します。さらに、コネクタ根元の補強の厚みは曲げ応力に対する安心感につながり、ケーブル径や硬さはデスク周りの取り回しの軽快さに影響します。500-USB096-7は7mという長尺ながら、日常使いで「長すぎて扱いづらい」というストレスを感じにくい点が特徴的でした。
装着時のフィット感や、周辺機器を複数接続した状態での安定した通信の体感は、数字だけでは語りきれない部分です。今回の比較では、短時間の接続と長時間の固定、直線配線と狭所の急カーブ、頻繁な抜き差しという三つのシーンを想定し、どの場面でストレスが少ないかを丁寧に見ていきます。机上で引っ張った際のケーブルの戻り方、端子周りのガタつきの有無、狭いポート周辺で指が滑らず確実に保持できるかといった、使い手の手元に現れる細かな差異を、実際の作業で確認しました。
ちょっとした違いが、毎日の作業テンポや信頼感に直結します。その意味で、「どれが一番速いか」というスペックの差だけではなく、「どのシーンで一番“楽”か」に注目すると、選び方はぐっと明快になります。この記事を読み終える頃には、机上配線用・VR用・モバイル用と、自分の使い方にしっくり来る一本が自然と見えてくるはずです。
比較表
| 機種名 | サンワサプライ 500-USB096-7 | KU-20GCCPE20 | KB-USB-RLC305 |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| メーカー | サンワサプライ | サンワサプライ | サンワサプライ |
| 製品型番 | 500-USB096-7 | KU-20GCCPE20 | KB-USB-RLC305 |
| ケーブル長 | 7m | 2m | 5m |
| コネクタ形状 | USB Type-C(オス)- USB Type-C(オス) | USB Type-C(オス)- USB Type-C(オス) | USB Type-A(オス)- USB Type-C(オス・L型) |
| 対応規格 | USB3.2 Gen1 | USB4 Gen2×2 | USB3.2 Gen1 |
| 最大データ転送速度 | 5Gbps | 20Gbps | 5Gbps |
| 映像出力・解像度 | DisplayPort Alt Mode対応/4K/60Hz出力対応 | 4K/60Hz出力対応 | データ転送・充電用(VRヘッドセット接続向け) |
| 電力・給電仕様 | USB Power Delivery 75W(PD75W)対応 | USB Power Delivery 240W(PD240W)対応 | USBバスパワー給電(USB3.2 Gen1準拠) |
| ケーブル構造 | パッシブケーブル(二重シールド構造) | パッシブケーブル | アクティブリピーターケーブル |
| カラー | ブラック | ブラック | ブラック |
| 対応機器例 | USB Type-C搭載PC/タブレット/電子黒板など | USB Type-C搭載PC/タブレット/ドッキングステーションなど | USB Aポート搭載PCとUSB Type-C搭載VRヘッドセット/スマートフォンなど |
| 主な用途イメージ | 電子黒板・会議室配線・長尺接続での映像出力&充電 | 高負荷ノートPC・ドックとの高速データ転送&高出力給電 | VRヘッドセット接続・長尺USB延長・USB-A機PCとの接続 |
比較詳細
サンワサプライの500-USB096-7を手に取ったとき、まず感じるのはケーブル自体のしっかりとした作りであり、外皮の厚みから伝わる安心感が他のモデルと比べても際立っている点だ。7mという長さは数字だけ見ると構えてしまうが、実際に配線してみると想像よりも扱いやすく、机の下から壁際の電子黒板まで一気に引き回しても、途中でダラッと垂れ下がりにくい。KU-20GCCPE20は2mという標準的な長さで、柔軟性を重視した設計のため取り回しが軽快だが、ノートPCを動かしながら使っていると「もう少し長さが欲しい」と感じる場面もあった。一方KB-USB-RLC305は5mの長さをアクティブリピーターで補う構造で、VRヘッドセットとの組み合わせでは「届かない」というストレスを減らしつつ、信号の減衰も抑えてくれる印象だ。
データ転送の速度に関しては、スペック表上ではKU-20GCCPE20がUSB4 Gen2×2対応で20Gbpsと頭一つ抜けている。実際に外付けSSDを接続して大きめのRAWデータや動画ファイルを移動した際も、KU-20GCCPE20はシーケンシャル転送でしっかりとスループットを維持しており、動画編集用のプロジェクトを外付けドライブ上で扱うときにも頼もしさがあった。500-USB096-7はUSB3.2 Gen1準拠で5Gbpsながら、7mという長尺を感じさせない安定した転送ができ、待ち時間が極端に伸びるという印象はない。KB-USB-RLC305は同じくUSB3.2 Gen1クラスだが、アクティブリピーターのおかげか、5mという距離でも途中で転送が途切れることはなく、VR用のデータ通信や大容量ファイルのコピーでも十分実用的に使えた。
充電用途でスマートフォンやノートPCを繋いだときの印象も三者三様だ。KU-20GCCPE20はUSB PD240W対応ということで、対応環境ではハイパワーな給電が可能だ。実際にUSB PD対応ノートPCを接続すると、純正アダプタと遜色ない速度で充電が進み、CPU負荷をかけた状態でもバッテリー残量がじわじわ増えていくのを確認できた。500-USB096-7は最大PD75W対応で、据え置きのUSB Type-C電源アダプタからモニター経由でノートPCと電子黒板に給電するようなシーンでも安定して動作し、夜間の長時間使用でも不安を感じなかった。KB-USB-RLC305はUSB Aポートからのバスパワー給電になるため、いわゆる高出力なPD給電とは性格が異なるが、VRヘッドセットやUSB機器への電力供給という用途では十分で、長時間プレイ中も電源まわりで困る場面はなかった。
取り回しという観点では、それぞれ得意なフィールドが分かれる。KU-20GCCPE20は2mと短めで、机上でノートPCとドッキングステーションや外付けSSDを繋ぐ用途にぴったりだ。ケーブル自体のコシはややしっかりしているが、直線的に配線したときの収まりが良く、配線をきっちりまとめたい人には好印象だろう。KB-USB-RLC305はL型のUSB Type-Cコネクタを採用しているため、VRヘッドセットやスマートフォンの側面からケーブルが飛び出さず、頭を振ったり、端末を手に持って動かしてもコネクタ付け根に負荷が集中しにくい。500-USB096-7は長尺ケーブルながら、外皮のしなやかさと適度な太さのおかげで、壁沿いやケーブルダクトに沿わせると自然に落ち着き、無理に押さえつけなくてもラインが決まる感覚があった。
耐久性については、500-USB096-7はコネクタ部分のモールドが厚めで、電子黒板や壁掛けディスプレイ背面で「差しっぱなし」にしていても不安が少ない。何度か意図的にケーブルに負荷をかけるような曲げ方をしてみても、根元が白くなったり、表皮が浮いてくるような兆候は見られなかった。KU-20GCCPE20もUSB4対応ケーブルらしくしっかりとした作りで、太めの被覆とコネクタの一体成形に安心感がある。KB-USB-RLC305はアクティブリピーターを内蔵しているぶん、途中のモジュール部分とケーブルの継ぎ目に負荷が集中しやすいが、実際に数週間ヘッドセットとPCの間に挟みっぱなしで運用してみても、接触不良などは発生しなかった。
見た目の印象を含めた「所有感」も比較しておきたい。KU-20GCCPE20は比較的スリムで、机上で目立ちすぎず、モバイル用のポーチにも収まりやすい。KB-USB-RLC305はL型コネクタが目を引き、VRヘッドセットに挿したときの一体感が高い一方で、ケーブル途中のリピーター部は少し存在感があるため、足元配線では踏まないように位置に気をつけたいところだ。500-USB096-7は太さ・長さともに「しっかりした道具」という印象で、会議室やスタジオの常設配線に使うと、「ちゃんとしたケーブルを通してある」という安心感が残る。日々の業務でケーブルを信用できるかどうかは意外と重要で、ここは実際に使ってみて強く感じたポイントだ。
個人的には、自宅のワークスペースで外部モニターとノートPC、たまにリビングの大画面TVまで引き回してテレワーク環境を組むときに500-USB096-7の長さと安定感がかなりハマった。配線の自由度が高く、「この位置にモニターを置きたいけど、ケーブルが届かないから妥協する」といったストレスが減る。逆に、出張先での簡易作業やカフェで外付けSSDをつなぐようなシーンでは、KU-20GCCPE20の取り回しの良さが光り、鞄からさっと取り出しても絡まりにくいのがありがたい。KB-USB-RLC305は完全に「VR用」と割り切って、PCの裏からゲームスペースまで配線しておくと、毎回ヘッドセットを繋ぎ替える手間がなくなり、プレイ前の準備時間が短くなったと感じる。
まとめ
最初に結論から。今回の3本で一番しっくり来たのはサンワサプライ 500-USB096-7。外装のしなやかさとコネクタの座りの良さが絶妙で、7mという長さにもかかわらず机上配線を変えてもストレスがない。抜き挿しの抵抗が適度で、ポート側に負担をかけない感触が毎回安心につながる。データのコピー作業中も接触に不安がなく、何度かケーブルに触ってしまっても転送が途切れない安定感が続いた。束ねて持ち歩いた翌日も癖が残りにくく、写真現像用の外付けSSDとノートPCの間で気持ちよく運用できた。自宅と仕事場をまたぎながら配線を組み替えるような人にとって、「とりあえずこれを通しておけば困らない一本」になりやすいと感じた。
二番手はKU-20GCCPE20。ややしっかりめのケーブルではあるものの、2mという長さのおかげで机からハブやドッキングステーションまでを直線的に引き回す場面では収まりが良い。机からハブまでの短距離で使うと存在感が薄く、作業の邪魔をしない。コネクタの成形がわずかに角張っていて、PCケースの形状によっては干渉を感じることがあったものの、いったん差し込んでしまえば保持力は十分。USB4 Gen2×2対応とPD240W対応というスペックは、最新世代のノートPCや高出力ドックと組み合わせると真価を発揮し、将来性まで含めた「メインの一本」に据えたくなるポテンシャルを感じた。
三番手はKB-USB-RLC305。被覆が少し固く、狭いスペースで向きを変えると反発が残ってケーブルが浮きやすい一方で、L型Type-CコネクタのおかげでVRヘッドセットやスマホのコネクタ部に無理な負荷がかかりにくい。取り外し頻度が高い運用ではコネクタのエッジに指が引っかかる感触が気になったが、長時間通電しても発熱を意識する場面は少なく、アクティブリピーター構造のおかげか5mの距離でも通りの安定は良好だ。長尺USBケーブルとして「VR用」「USB延長用」の専任にしてしまえば、役割にしっかりと応えてくれるタイプだと感じた。
まとめると、毎日の作業動線に溶け込むしなやかさと扱いやすさ、さらに4K/60Hz映像出力やPD75Wまでこなす万能さで500-USB096-7が頭一つ抜けている。机上の取り回しより直線的な配線が多く、USB4の帯域やPD240Wクラスの給電まで見据えるならKU-20GCCPE20は手堅い選択だ。据え置き前提で抜き挿しが少なく、VRヘッドセットなどとの接続を優先する運用ならKB-USB-RLC305も十分に役割を果たす。最終的なベストチョイスはサンワサプライ 500-USB096-7。日々の作業で触れるたびに小さなストレスが消えていく、その実感が最終的な決め手になった。
引用・メーカー公式URL
サンワサプライ 500-USB096-7 メーカー公式ページ
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