目次
概要
SanDisk SDSQUAB-128G-GN6MN [128GB]、KIOXIA EXCERIA KLMEA128G [128GB]、そしてアクシス Surveillance Card 01491-001はいずれも128GB容量のmicroSDXCカードですが、設計思想と想定されるワークロードはかなり異なります。アクシス Surveillance Card 01491-001は、その名のとおり監視用途に特化したモデルで、常時録画や連続上書きといった過酷な運用を前提に作られているのがポイントです。一般的なコンシューマ向けカードが「日常利用での汎用性とコスパ」を重視しているのに対し、このカードは「止めないこと・途切れさせないこと」を重視した味付けになっています。
監視現場では、録画が止まった瞬間に「欲しい映像」が抜け落ちるリスクがあります。だからこそ、速度のピーク値よりも、負荷がかかった状態でどれだけ安定して書き込み続けられるか、温度変化や電源瞬断などのストレスにどれだけ粘れるかが評価軸になります。アクシス Surveillance Card 01491-001は、UHS-I・V30・A1といった現在の定番スペックを押さえつつ、長時間稼働時の挙動の素直さやエラー耐性を監視向けに振り切ったバランスで、IPカメラ運用で安心感を優先したい人に向くカードです。
一方で、SanDisk SDSQUAB-128G-GN6MNとKIOXIA EXCERIA KLMEA128Gは、スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機、アクションカメラといった汎用デバイスでの利用を想定したモデルです。日々の写真撮影や短時間の動画撮影、アプリのインストールといったライト〜ミドルなワークロードでは、軽快な読出し速度と扱いやすさが魅力で、実売価格も含めて非常にバランスの良い選択肢といえます。ただし、24時間365日の連続録画といった「常に書き続ける」環境では、設計の優先度の違いから挙動に差が出る場面もありました。
設置台数が増えれば増えるほど、小さな不具合やエラーが積み重なってトラブルシューティングの工数や交換コストとして効いてきます。監視システムでは「カード代を節約した結果、保守・駆けつけで人件費が増える」という本末転倒な状況も起こりがちです。今回の比較では、普段使いで人気の高い2モデルと並べてみることで、あえて監視専用カードを選ぶ意味を整理しつつ、連続記録の安定性や交換サイクルの見通し、そして現場での「安心感」の違いを掘り下げていきます。
比較表
| 機種名 | アクシス Surveillance Card 01491-001 | SanDisk SDSQUAB-128G-GN6MN [128GB] | KIOXIA EXCERIA KLMEA128G [128GB] |
|---|---|---|---|
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| 容量 | 128GB | 128GB | 128GB |
| カード規格 | microSDXC | microSDXC | microSDXC |
| UHS規格 | UHS-I | UHS-I | UHS-I |
| 速度クラス | Class 10 | Class 10 | Class 10 |
| ビデオスピードクラス | V30 | V30 | V30 |
| アプリケーションパフォーマンスクラス | A1 | A1 | A1 |
| 最大読込速度 | 100MB/s | 100MB/s | 100MB/s |
| 最大書込速度 | 40MB/s | 100MB/s | 85MB/s |
| 耐久性仕様 | 監視用途向け高耐久 | 一般用途 | 一般用途 |
| 動作温度範囲 | -25℃~85℃ | -25℃~85℃ | -25℃~85℃ |
| 保存温度範囲 | -40℃~85℃ | -40℃~85℃ | -40℃~85℃ |
| 防水性能 | あり | あり | あり |
| 耐衝撃性能 | あり | あり | あり |
| 耐X線性能 | あり | あり | あり |
| 保証期間 | 3年 | 10年 | 5年 |
| 用途 | 監視カメラ録画専用 | スマートフォン/一般用途 | スマートフォン/一般用途 |
| 製品形状 | microSDカード | microSDカード | microSDカード |
| メーカー | AXIS | SanDisk | KIOXIA |
| モデル番号 | 01491-001 | SDSQUAB-128G-GN6MN | KLMEA128G |
| 発売区分 | 監視特化モデル | 一般流通モデル | 一般流通モデル |
比較詳細
連続録画時の安定性と挙動の違い
アクシスのSurveillance Card 01491-001は監視用途に特化したSDメモリーカードであり、長時間の連続書き込みや高い耐久性を前提に設計されている点が大きな特徴だと感じた。実際に防犯カメラに組み込んで常時録画を行うと、通常のコンシューマー向けカードでは不安定になりがちな連続録画でも安定して動作し、記録が途切れる心配がほとんどなかった。ログを見ても、録画停止や書き込みエラーの発生頻度が低く、運用中に「大丈夫かな?」と不安になる場面がかなり減った印象だ。
SanDisk SDSQUAB-128G-GN6MNはスマートフォンや一般的なデジタル機器での利用を想定しているため、ランダムアクセスや読み込み速度は軽快で、写真や動画の閲覧・コピーでは「やっぱり速いな」と素直に感じる。一方で、長時間の書き込みを続けるとカード表面の発熱や速度低下を体感する場面があり、監視カメラに流用した場合には、数日〜数週間単位で見ると書き込みの揺らぎが気になった。KIOXIA EXCERIA KLMEA128Gも同様に日常的な利用では快適だが、監視カメラのように常時書き込みが続く環境では、耐久性の面で不安を覚える瞬間があった。
実際の運用で感じた「安心感」の差
体感的な違いとして、Surveillance Cardは録画データの保存が途切れない安心感が際立っている。夜間の長時間録画や、週末を挟んだ放置運用でも、「後で見返したら肝心な時間だけ録れていなかった」という事態が起きにくく、チェック時に肩の力を抜いてログを追える印象だった。SanDiskのモデルでは、動画ファイルの転送やスマホでの利用時に軽快さを感じる一方で、監視用途に回すと数日後に書き込み速度が落ちているような印象を受けたことがあり、「短時間の撮影なら問題ないけれど、常時録画は得意分野ではないな」と感じた。
KIOXIAのカードは、普段の写真保存や音楽再生では十分な性能を発揮し、コスパも良いので「とりあえず1枚欲しい」という時には頼りになる。ただ、監視カメラに組み込んだ際には記録が不安定になることがあり、実際に映像が飛んでしまった経験もあった。その時は、タイムライン上にぽっかりと抜けた時間帯ができていて、ログを追いかけながら「ここだけでも残っていてほしかった…」と少しショックを受けたのをよく覚えている。こうした差はスペック表だけでは見えにくいが、使ってみると明確に感じられる部分だ。
長期運用と交換サイクルのイメージ
Surveillance Cardを使っていると、録画データが途切れずに積み重なっていく安心感があり、夜間や長時間の監視でも余計な不安を抱かずに済む。アクシスの監視用カードには、状態監視や健康チェックの仕組みが用意されており、交換時期の目安をつかみやすい点も「業務っぽさ」を感じるポイントだった。「そろそろ交換した方が良さそうだな」と事前に判断できるので、突然のトラブルで慌てて現場に駆けつける回数を減らしやすい印象だ。
SanDiskのカードは、旅行や趣味用途で使う分には読み出しが速く、写真や動画の読み込みがスムーズで、「撮ってすぐSNSに上げたい」といった使い方に向いていると感じた。Switchや携帯ゲーム機に入れても、ロード時間が短くて快適だった。一方で、24時間の常時録画に回した場合には、数か月スパンで見たときに「そろそろ差し替えておいた方が安心かな」と思う場面があり、交換サイクルを少し短く見積もりたくなった。
KIOXIAのカードはコストパフォーマンスが高く、普段使い用として複数枚まとめ買いしておくと便利なタイプだと感じている。写真・動画のバックアップや音楽データの持ち運びなど、負荷がさほど高くないシーンでは全く問題なく使える。ただ、監視のような特殊な環境では、書き込み回数が一気に増えることもあり、長期運用での信頼性に差が出る印象は否めなかった。実際に使い比べると、Surveillance Cardは「業務用として安心して任せられる」、SanDiskやKIOXIAは「日常利用でストレスなく使える」という棲み分けが自然に浮かんでくる。
取り付けや検証作業のしやすさ
取り付けや検証作業のしやすさという観点でも、地味に差を感じた。Surveillance Cardは付属アダプタを使ってPCに接続し、そのままベンチマークやログ確認を行いやすく、複数のカメラから取り出したカードを順番にチェックするような運用にもなじみやすい。実際、自分の環境では週イチで録画データのサンプルを取り出して確認しているが、「カメラ→PC→カメラ」の往復がスムーズに回るのは結構大きなメリットだった。
SanDiskやKIOXIAのカードもアダプタ経由で扱える点は同じだが、扱いとしては「普段のストレージ」としての位置付けが強く、監視用途まで含めて一元管理するには、別途カードごとの役割分担をしっかり決めておいた方が良いと感じた。「これは監視用・これはスマホ用」と、ラベリングして使い分けると、後で混乱せずに済むのでおすすめだ。実際、ラベルを貼らずに運用していた時期は、どのカードをどのカメラに入れていたか分からなくなり、ログ解析に余計な時間がかかったこともあった。
まとめ
まず最も良かったのはアクシス Surveillance Card 01491-001。軸足が「監視」に振り切られているだけあって、IPカメラでの常時録画でも書き込みのムラが出にくく、深夜帯の連続保存やネットワーク切断時の復旧でも映像の欠落がほとんど生じなかった。健康監視機能のおかげで交換時期の目安が掴みやすいのも安心材料で、「そろそろ替えようかな」と計画的にメンテナンスしやすい。夏場の高温環境でも不安定化せず、付属アダプタで検証作業もスムーズだった。信頼感を最優先するなら、これを選ぶだけで悩みがかなり減る、というのが正直な感想だ。
次点はSanDisk SDSQUAB-128G-GN6MN。スマホやSwitch、アクションカム用途では読み出しが軽快で扱いやすく、短時間の撮影や持ち運び用ストレージとしては文句なく快適だった。実際、旅行に持ち出した際には、撮影→閲覧→バックアップの流れが軽く回せて、「普段使いの1枚」としての優秀さを強く感じた。一方で、監視カメラのような長時間・常時録画では温度の上がり方に合わせて書き込みが揺らぐ瞬間があり、記録の堅牢性より汎用性重視という立ち位置に感じたのも事実だ。
3番手はKIOXIA EXCERIA KLMEA128G。日常使いではキビキビと動き、写真・動画の転送もストレスなしで、価格を考えるとかなり優秀だと思う。自分も「バックアップ用のサブカード」として何枚かまとめて使っているが、普段の用途では特に不満を感じていない。ただ、24時間連続の録画検証では、ときおりログが止まる挙動が見られ、「監視カメラにも流用しておこう」と考えるには少し勇気がいるというのが正直なところだった。用途を選べば十分に活躍してくれるが、業務用途までカバーさせるのはやや荷が重い印象だ。
総じて、スペック上の違い以上に、実際に使ったときの安心感や信頼性の差が大きく、特に監視用途ではSurveillance Cardが圧倒的に優れていると感じた。SanDiskやKIOXIAは日常的な利用では十分だが、業務用途や長時間の録画では不安が残る。監視環境で安心して使いたいならアクシス Surveillance Card 01491-001、日常的な利用で速度やコスパを重視するならSanDisk SDSQUAB-128G-GN6MNかKIOXIA EXCERIA KLMEA128Gを好みで選ぶ、という分け方がしっくりくる。実際に試してみると、この違いは数字以上に大きく感じられ、用途に応じたカード選びの重要性を強く実感した。
引用
https://www.axis.com/ja-jp/products/axis-surveillance-card-128-gb
https://www.sandisk.com/home/memory-cards/microsd-cards/ultra-microsd
https://www.kioxia.com/ja-jp/personal/micro-sd/exceria.html
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